代表的ながん治療として用いられる「化学療法」。人間の抗がん剤というと“副作用がきつい”というイメージがありますよね。

「病気になっても、できるだけ長く愛犬と一緒にいたい」という思いとは半面、あまりにも副作用がきついと愛犬を苦しめるだけなのでは…と治療方法で迷われる方も多いと思います。

そこで今回は、犬の化学治療で用いられる代表的な抗がん剤の種類と副作用についてまとめておきます。

悪性リンパ腫の化学療法「CHOP療法」とは

悪性リンパ腫の化学療法では「CHOP療法」といって3種類の抗がん剤(ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン)にステロイド(プレド二ゾロン)を組み合わせた治療が行われます。それぞれのお薬の概要と副作用を次の項目で見ていきましょう。

ビンクリスチン(商品名:オンコロビン)

ニチニチソウという植物に含まれる成分から抽出した抗がん剤。微小管阻害薬。細胞分裂をする際に重要な「微小管」の働きを阻害することで、がん細胞の増殖を抑える効果が期待できます。

お薬の効果

これまで2回投与していますが、どちらも腫瘍は小さくなりました。初回はとくに効きが良く、腫瘍の大きさは半分まで小さくなりました。

主な副作用

・骨髄抑制(白血球が少なくなることで、感染症にかかりやすくなる)
・胃腸障害(下痢、吐き気など)

のんちゃんの様子

1回目はお薬投与後、3日目から5日目にひどい下痢が続きました。ティッシュでは拾えないほど軟便だったので、お散歩ではペットボトルのお水は必須!

2回目は目立った胃腸障害はなく、頓服薬で処方された下痢止めも使うことはありませんでした。ただ白血球の値が32で正常値(60~170)を下回りました。

シクロホスファミド(商品名:エンドキサン)

がん細胞が細胞分裂を繰り返す際に必要なDNA合成を阻害することで、細胞増殖を抑えるお薬。

お薬の効果

2つあるうち1つの腫瘍だけやや小さくなりました。ビンクリスチンに比べると効果はあまり期待できず…。

主な副作用

・骨髄抑制
・吐き気、下痢
・脱毛
・出血性膀胱炎

のんちゃんの様子

のんちゃんの場合、副作用は脱毛と膀胱炎でした。

脱毛は全体的に毛の量が減り、お腹のほうは地肌が見えるほど薄くなりました。毛が減ったからといって体に何か不調が起こるわけではないですし、愛犬自身が「見た目」を気にすることもありませんから、大きな問題ではありません。

それより気になったのは、膀胱炎ですね。のんちゃんは、お薬を投与してから5日後に血尿が出ました。その前日にあまりお水を飲まなかったので、症状が悪化してしまったようです。

すぐに動物病院へ連れて行き、お薬をもらって1週間飲ませました。現在症状は落ち着いていますが、膀胱炎は再発しやすい病気なので、「こまめに水分を与える」「お野菜を多めの食事にしてご飯からも水分を取らせるようにする」などの工夫をしています。

ドキソルビシン(商品名:アドリアシン)

細菌の培養液から抽出された抗がん性抗生物質。増殖速度の速い「がん細胞」にのみ毒性を示します。

主な副作用

・骨髄抑制
・胃腸障害
・蓄積性心毒性
・血管外漏れ時の周囲組織の壊死

蓄積性心毒性とは、お薬の投与を何度か繰り返すと体内に毒が蓄積されていき、心筋障害を起こすこと。ドキソルビシンに起因する心毒性はまれな副作用ですが、重篤な転機を取ることが多いそうです。

「ドキソルビシンを投与された4%の犬がうっ血性心不全を発症し、すべてのケースが90日以内に死亡」というデータもあります。初回で心毒性を起こすことはまれ。心筋毒性を起こした犬はいずれもドキソルビシン生涯蓄積量が180mgを超えるとのこと。

またドキソルビシンは30~60分かけて、点滴でお薬を投与するため、その間に犬が動いて血管の外にお薬が漏れてしまった場合、皮膚が壊死することもあるそうです。

抗がん剤治療をすべきかどうか迷っている方へ

あくまでも私の体験ですが、のんちゃんの抗がん剤治療を始めて1か月が経過した現時点では、「化学療法を選んでよかった」と思っています。理由は思っていたよりも抗がん剤の副作用はひどくなく、腫瘍も小さくなったためです。

抗がん剤を行った結果、犬に起こると予想される副作用の一部は人に見られる副作用によく似ていますが、それらはもっと軽いことが多いです。犬に対して使う薬は人間に使うときほどいろんな薬を組み合わせないこと、人の治療に比べて容量が少ないことなどがその理由です。

なので「副作用が心配」という理由で抗がん剤を治療の選択肢から外すべきではないと考えています。